サッカー日本代表基準の教科書





結論 日本代表基準とは?

  • ポジショナルプレーに捉われない、攻撃判断(相手との駆け引き)における個性が磨かれている。
  • 敵と味方の状況から、配球の判断をギリギリで変えられる。
  • チーム選びを間違えない。(※自分の個性が生きないサッカークラブは選ばない)

史上初の3年連続J1得点王(2013~15年)、J1歴代最多191ゴールの偉大な記録を持つ大久保嘉人氏が苦言を呈している「今はみんな似た選手ばっかり」の真意とは。その本質に迫る。

【引用】「今はみんな似た選手ばっかり…」大久保嘉人が語る日本サッカーへの違和感 (元川悦子)
https://news.yahoo.co.jp/byline/motokawaetsuko/20211119-00268372

間違った “ポジショナルプレー” への警鐘

日本サッカー界でも普及しつつあるポジショナルプレーに関して、その先の差別化(攻撃判断)が大切という警鐘を鳴らす。サッカーは本来、ゴールを決めるためにゴールに向き合い続けるスポーツ。全ての判断・姿勢・技術はゴールに向かうために磨かれるべきものである。

「本来、FWはディフェンスの動きを見ながら駆け引きしなきゃいけないのに、『ここが空くから立ちなさい』と言われたところにしか立てない。その先は自分でターンやドリブルなどの判断をして、駆け引きしていかないといけないのに、その違いを作れない。みんな似た選手ばっかりだし、『俺がもっと若かったらガンガン行けたやろうな』って正直、思います」
「ポジショナルプレー自体はいいんですけど、怖くないプレーばっかりというのが気になります。プレミアリーグを見ると、前へのスイッチが入った時はぶわっと速いのに、日本はずっとボールを外で回してサイドからクロスを入れて取られたら、みんながばーっと帰るみたいな忙しい展開。それじゃあ怖くないんです。言われたことばっかりやるっていうのはもったいないかなと感じます」
「フロンターレだったら、サイドバックが飛び出て、インサイドハーフがそこに絡んで、相手DFを引き付けて、空いたスペースにFWが入っていく。俺がいた時はそうでした。たまには外に開くこともあったけど、中央のスペースには絶対に誰かしら入って厚みある攻めを演出していた。点を取りたければもっと前へ出て行かないとダメだと思います」

一流のマリーシアとは?

相手のプレーを読むのが守備の醍醐味だとすれば、その逆は「相手に読まれないプレー」ということになる。日本人は教わったようにそのままプレーすることが特徴のようだ。

「最初は前線でコンビを組んでいたレナト(現ポンチ・プレッタ)がニアサイドばっかりにぶち込むから、俺は点を取れなかった。一度ブチ切れて『逆サイドに打て』と言ったら、全部そっちにシュートを打つようになったんで、俺が触って押し込めたんです。だけど日本人はレナトみたいには打てない。彼は打つのかパスするのかを感覚で判断してるけど、日本人はパスを出す時に顔を上げてしまうんです。それで相手DFにバレて防がれる。『目が合ってからパスするんじゃ遅いよ』とつねに周りには言い続けていましたね」

判断をギリギリに変えることが出来ることが良い配球者。だからこそ遊び玉でリズムも作れるし、駆け引きも出来る。

「憲剛さんは自分のキャリアの中でダントツのパッサー。代表ではヤット(遠藤保仁=磐田)さんとかもいましたけど、一緒にやった時間も長かったですからね。憲剛さんがすごいのは、足元か裏なのかという判断をギリギリまで待ってパス出しができること。そういう選手はなかなかいない。それに遊び玉をポンポン当ててくれる。自分もリズムができるし、相手DFはどこで取りに行っていいのか分かんなくなる。簡単なプレーですけど、ほとんどの選手はそれができないんです」

サッカーモデルの重要性とは?

個人の判断が欠如したサッカーに魅力はない。判断の連続性と調和こそがサッカーの楽しさ。楽しいサッカーには良い選手も集まる。まさにその通り。

「風間(八宏=現セレッソ大阪スポーツクラブアカデミー技術委員長)さんが土台を作って、攻撃面で魅力あるサッカーをやってきたし、ああいうサッカーをすれば、いい選手も来る。そのうえで鬼木(達=現監督)さんが守備の整備をして、バランスのとれたチームになった。ホントに見てて面白い。今はほとんどがポジショナルプレーで選手個人の判断が全くないサッカーが主流なので魅力がないですし、『サッカーをやってる』と思えるのはフロンターレくらいですよ」
「やっぱり質。フロンターレのサッカーをやれば、間違いなくセレッソの方が今は強いかもしれない。でもそういうわけにいかないのが現実なんです。.....フロンターレでさえ、優勝するまでに5年くらいかかっていますから。セレッソも『こういうサッカーをする』という確固たるものを持たないといけない。時間はかかるけど、ホントに魅力あるチームにこれからなると思います」

自分の成長のためにチーム選びは大切

サッカーの芯がコロコロ変わるクラブへ行けばサッカー選手として潰れてしまうことはある。大久保選手も多くのサッカー選手と同じような課題を感じ続けてきたということ。

「大半は苦労です(苦笑)。だから若い選手に言うんですけど、『チーム選びは大事だぞ』と。チーム方針や監督のビジョンは自分の今後に大きく影響します。芯がないところにいくと、いい選手でもつぶれてしまう。日本って才能があって、チーム次第で生きる選手はメチャクチャおる。うまい選手ばっかなんです。だけど自分に合うチームに巡り合えていない。俺の場合もそうやったから」

プロサッカー選手を目指す子供達へ

常に全力でプロになりたいと意志を持ち続けること。意志を持ち続けてきた選手だから語れる説得力のある言葉がここにある。

「息子たちには『どこでどんな人が見てるか分かんないから、試合に出ても出なくても、つねに全力でプロになりたいという思いを強く持ってやりなさい』って言ってます」




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