これまで多くの小学生を「中学→高校→大学→Jリーグ」と様々な進路に送り出してきた経験をもとに、小学6年生の夏までに、今後のステップアップに繋がる進路を目指すサッカー少年達が準備をしておくべきポイントをまとめてみました。
① 志望の進路・ジュニアユースをある程度決めておく
人気のジュニアユースクラブほど大人数でのセレクションで選別(合否判断)を受けます。一人当たり数十分の試合形式の審査で合否を決められることもあります。「うちの子供を本当に見てくれているのかな?」や「今日はたまたま調子が悪かったのだけれど・・・」と印象を受けるケースも少なくありません。
一方で、事前に優先順位を決まっていることで「非公開の練習会参加」や「監督推薦」など、上記のような大人数での選別に巻き込まれずに、選手の実力や潜在能力・成長性で合否判断(内定)を貰えるケースも多いです。
② 知らない選手と一緒にプレーする機会を増やしておく
セレクションでは100%の確率で「今まで一緒にプレーしたことのない選手と一緒にサッカーをする」という状況に直面します。その状況下において、『いつもと違う仲間だから、いつもの調子が出せない』という言い訳も通用しません。来季のセレクションが始まる夏前までに、知らない選手とのプレーにも順応し、その中で自分の実力を発揮するためのコツを掴んでおく必要があります。
③ 色々なポジションを経験しておく
人気クラブのセレクションほど、自分の得意なポジションでプレーさせてくれる可能性も低くなります。事前に監督推薦をもらえている選手であれば待遇も変わりますが、そうでない場合は自分の不得意なポジションで審査を受けることになります。國學院久我山高校サッカー部の非公開セレクションでも「本人がやりたいポジション」ではなく、「國學院久我山高校で補強したいポジション」でのプレーをさせることは多々あります。
セレクション当日に困惑しないためにも、また強豪クラブ・高校・大学に進むことで何れ複数ポジションをこなせる選手がトップチームに選ばれやすくなるという現実に向き合うためにも、今から様々なポジション・初対面の仲間とのプレーも経験しておくことをお勧めしています。
④ 関東リーグレベル以上を目指すなら年上とのプレー経験も
5年生までは6年生と一緒にプレーする機会が得られますが、6年生になった途端、一般的には上位カテゴリー(中学生以上)と一緒にプレーする機会が減ります。しかしながら、有名なJリーグ下部組織のセレクションほど、中学生のような身体能力の高い同世代・6年生がライバルになるケースが増えます。
セレクション当日に全く歯が立たなかった・・・とならないよう、事前に上位カテゴリーとの対戦なども経験しておき、身体能力の高い相手にも慣れておくことをお勧めしています。
過去にブラジル人とも一緒にプレーしてきましたが、ブラジル人は小さい頃から年齢ごちゃ混ぜのストリートサッカーを経験している選手が多く、「年齢別」で育成を管理する日本人選手とは違い、いつも身体能力の高い相手にも落ち着いてプレーしている印象を受けていました。
【筆者】
岩崎 勇一郎(サッカー指導者/文武両道育成の専門家)
生物工学的視点からアスリートの成長と発達を研究(工学博士)。様々な同世代Jリーガーのセカンドキャリア対策を担う過程で「文武両道型の育成」に確信を得る。また、怪我によりサッカー人生を断たれる多くのトップ選手達を目の当たりにしながら、身体能力だけではなく「テクニックと状況判断能力」を武器として磨くサッカー観・育成メソッドの必要性を実感する。
<現在>
関西圏 J3リーグクラブ スカウト (スカウト実績)
國學院久我山高校サッカー部 コーチ・U-15スカウト・進路指導
早稲田ユナイテッド総監督(U-22, U-15, U-12)
B1リーグ レバンガ北海道 文武両道型育成システム開発
ワセダクラブ理事
<過去の経歴>
元 FC琉球 スカウト (2017年〜2018年:クラブ史上初のJ2リーグ昇格へ)
元 早稲田大学ア式蹴球部 コーチ・関東リーグ理事
元 開成高校・中学サッカー部 テクニカルコーチ
<選手歴>
フォルツァ02→國學院久我山高校サッカー部→早稲田大学ア式蹴球部→早稲田ユナイテッド
<執筆>
東洋経済オンライン 過去の執筆記事(URL)
ジュニアサッカーを応援しよう 2017年 4月号(URL)
サッカーダイジェスト 2018年 9/13 号(URL)
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