こんにちは。JFSL広報担当の渡辺です。
毎年8月以降は、中学・高校世代において受験勉強対策で部活を引退する選手も現れる時期ですが、全国大会出場も目指しながら、東大のような有名国公立や医学部・早慶MARCHへの進学も両立する國學院久我山高校(東京都杉並区)という学校があります。
そこで今回は、國學院久我山高校の現場指導者に “文武両道で一流を目指す極意” をテーマとした指導者セミナーに登壇頂き、以下に対談内容の一部を抜粋させて頂きました。
※ 本投稿は2022年9月3日に開催されたJFSLオンライ育成セミナーの内容を抜粋しております。
セミナーゲスト
岩崎 勇一郎
<主なサッカー歴>
國學院久我山高校サッカー部
早稲田大学ア式蹴球部
早稻田ユナイテッド
2007年から早稲田大学サッカー部をはじめとする、早稲田大学関連組織(ワセダクラブ・早稲田ユナイテッド)で監督・総監督を担いながら、同時に米国大学スポーツ推薦選手の輩出やJリーガーセカンドキャリ対策専門家として多くのサッカー選手の社会接続を推進。
2017年からはJリーグクラブの強化担当(スカウト・戦略設計)に就任し、JFL→J3→J2リーグ昇格に貢献する選手スカウトにも貢献。
2020年から國學院久我山サッカー部のカテゴリー監督・スカウトに就任。高校1年時から指導した選手達が高校3年時に第101回 全国高校サッカー選手権大会出場およびベスト16を成し遂げるとともに、全国高校選手権大会優秀選手・U-19日本代表などにも選出され、現在はJリーグスカウトと高校サッカー指導の両面の立場からJリーグ・世代別日本代表への輩出を目指す。
Twitter: こちら
セミナー対談の一部抜粋
本日は ”文武両道で一流を目指す極意” ついてお話を頂けましたが、
文武両道のサッカー選手育成において、プレゼン資料の中でも何度も「効率化」というキーワードを分かりやすく挙げられておりましたが、なぜ効率化が重要なのでしょうか?
効率化は國學院久我山高校サッカー部のようにサッカーにおいても勉強においても一流を目指す選手たちが目標達成するために必要不可欠です。
人間には誰しも、1日に24時間しか時間が与えらていないことが前提にあります。
その同じ条件の中で、久我山高校の選手達には文武の両面から結果が求められているわけです。
だからこそ ”効率化” がキーワードになります。
普通の高校だと、その両立が不可能と考えているようにも感じますが、どのような効率化で文武両道を実現しているのでしょうか?
國學院久我山高校においては、先ず、選手達は学習時間(毎週のテスト・定期テキスト期間の部活動停止)を学校側に厳密に管理されています。
つまり、学生達はサッカー練習時間を制限されることになるので、これは同時に指導時間にも制限が生まれることになり、その中でコーチ陣が全国レベルを目指すための効果的なトレーニングを自ら考え実行するという効率化を図っています。
同時に、自分などは、練習時間内に影響力を与えられる限界もあるため、選手達が学校外でも成長できるように「目標設定」や「基準の意識」など、彼らが主体的に成長できるような日常意識のマネジメントを行なっておりますし、時々LINEで選手達から質問もくるので、それも主体的な成長を促すチャンスだと思い、明確なJリーグ基準などを伝えながら、一つの効率化として上手く活用しています。
なるほど。選手達だけでなく、現場のコーチの方々も限られた環境で結果を出すための効率化を図っているというわけですね。
そうですね。自分は國學院久山高校の指導においては今年で3年目なのですが、少なくともこの3年間において、そこは学校側のスタンスと、李監督のサッカー哲学の影響も大きく反映されているように感じます。
選手も監督・コーチ陣もこの環境の中で目標達成するために、全員で効率化された時間で結果を出すしかないと、自分達に改善のベクトルを向けられています。
効率化の具体的な方法や取り組みはどのようなものがありますか?
そもそも、練習時間数の制限だけではなく、練習のハード面でも野球部と併用という制限を受けているので、グランド半面で100人くらいで練習しないといけなかったりします。
そこで、”テクニックと判断力の強化”という効率化を徹底していることも、今の國學院久我山らしさに繋がっているわけです。
たしかに、國學院久我山と言えばテクニックのサッカーという印象はすごく強いです。
そういった環境だからこそテクニックサッカーが磨かれていったのですね。
そうとも言えるかもしれませんし、もともと李監督が持っているサッカー哲学と國學院久我山の勉強優先という環境の相性が良かったのかもしれないし、どちらとも言えるかもしれません。
極論、学校としては全国出場よりはきちんと勉強して良い進路に進んでいることを望んでいると思うので、文武でそれぞれが自分達の持ち場で全力を尽くしているという結果であると思います。
岩崎さんご自身も久我山OBなので、そういった効率的なサッカーを習ってきたわけですよね?
そうですね。思い返せば、自分の時代は今ほどテクニックを徹底して指導していたわけではなかったと思いますが、細かい「判断の効率化」についての指導を受けた記憶はあります。
例えば、ポジショニングですね。
当時はセンターバックだったので、監督からは「もう2歩右!」とか、1〜2歩単位のポジショニングと状況判断ミスを何度も繰り返し怒られていました。
なので自分も同じことを選手達にしています 笑
なるほど、、そのような指導を受けてきたOBコーチ達が選手に同じことを伝えるという、歴史と伝統の積み重ねなんですね 笑
國學院久我山のような文武両道が、サッカー選手のセカンドキャリア問題解決にも繋がるということも語られていましたが、その辺の詳細というか、エピソードのような話はありますでしょうか?
はい。順を追って整理しますと、
ます、文武両道の育成により、選手たちはサッカーだけでなく学業の実績も積み重ねることができます。
現在、國學院久我山OBでJリーガーとして活躍している選手もおりますが、プロサッカー選手としてのキャリアが終わった後も、最低限の学歴や経歴を持っているため、そういった環境で関係性を構築してきた仲間の人脈も含めて、サッカーだけに打ち込んできた人生の選手達よりも人間関係の選択肢は広がります。
また、学業の継続は選手の人間性や知識の幅を広げ、サッカー以外の分野でも活躍できる土台を構築することにもつながります。
自分も来年からJリーグスカウトとして
これは自分自身が実体験してきたリアルでもあります。
なので、どうせ同じように全国大会に出場して、プロサッカー選手を目指すのであれば、文武両道で目指すことを推奨していきたいと思います。
なるほどですね。本日は文武両道の育成による効率化と目標達成の重要性について、貴重なお話ありがとうございました。
※ その後、國學院久我山はこの年に第101回 全国高校サッカー選手権大会出場を決めることとなります。
ご清聴ありがとうございました。
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